翻訳

ロザリンド・クラウス(著)、井上康彦(翻訳)

独身者たち

平凡社
2018年8月
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『オリジナリティと反復』や『アンフォルム』で知られる美術批評家ロザリンド・クラウスの女性アーティスト論(Rosalind E. Krauss, Bachelors, MIT Press, 1999.)の翻訳である。いつのもように個々の作品の具体的な描写から出発する彼女の批評は、作品を外部の「物語」に還元し抽象化するという短絡を拒絶し、ただ表層の、目に見えるもの(シニフィアン)だけを論じることで、フェミニズム美術批評とは異なる視点を提示している。また具体的な対象が明示されているので彼女の視線と思考の軌跡を辿ることも可能になっている。そんなわけで、散発的に発表された論文をまとめた本書はいわゆる大著ではないし重複もあるけれど、ここには彼女の魅力のほとんどすべてが出揃っていると言ってもさほど極言にはならないだろうと思う。

今回本書を作成するにあたって図版のほとんどを原書からの転写ではなく、解像度の高い画像に差し替えた。クラウスがどの作品のどの部分について語っているのか、本文の記述を読みながら詳細に検証していただけることと思う。欲を言えば、本書には日本ではまだまだ知られていない作家も多く登場するので、彼女たちの作品展示が日本の美術館で実現されればこんなに嬉しいことはない。どこかないでしょうか?

井上康彦)

広報委員長:香川檀
広報委員:利根川由奈、白井史人、原瑠璃彦、大池惣太郎、鯖江秀樹、原島大輔
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2019年2月17日 発行