編著/共著

加治屋健司(編)

宇佐美圭司 よみがえる画家

東京大学出版会
2021年4月
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2021年4月から8月にかけて東京大学教養学部駒場博物館で開催された「宇佐美圭司 よみがえる画家」展(主催:東京大学)の展覧会カタログである。本展覧会は、東京大学中央食堂に掛けられていた絵画《きずな》が不用意な廃棄処分で失われたことの反省とともに企画・開催されたものである。

本書は、展覧会カタログであるだけでなく、傑出した画家として活躍し、旺盛な評論活動でも知られた宇佐美圭司の仕事を総合的に捉え直した研究書としての側面も持つ。展覧会を企画した加治屋健司、三浦篤による論考に加えて、《きずな》の制作のきっかけをつくった東京大学名誉教授の高階秀爾、そして、画家と深い親交があった造形作家の岡﨑乾二郎の論考も掲載して、宇佐美の再評価への貢献を目指した。

それと同時に、今後の画家研究の助けとなるように資料編の充実を図った。展覧会に出品した作品の図版はもとより、代表作の図版を掲載し、重要な論考を再録した。さらに、黒澤美子が宇佐美の蔵書と資料を精査して詳細かつ正確な文献目録及び略歴・展覧会歴を作成・編纂した。《きずな》の再現画像や貴重な写真資料も掲載されている。本書は、宇佐美研究の基本文献であるだけでなく、宇佐美が活躍した戦後日本美術を学ぶうえで有益な研究書である。

(加治屋健司)

広報委員長:香川檀
広報委員:大池惣太郎、岡本佳子、鯖江秀樹、髙山花子、原島大輔、福田安佐子
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2021年10月25日 発行