編著/共著

山本佳樹 (編)、市川 明 (編)、香月恵里 (編)、増本浩子 (編)

ドイツ文学と映画

三修社
2025年1月
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本書は、文学と映画の多様で複雑な関係のなかから〈文学作品の映画化〉という側面に取り組み、具体的な分析を積み重ねて、ドイツ文学と映画の関係を考察したものである。

取りあげた文学作品はドイツ文学のオーソドックスな代表作であり、論考の配列は文学作品の成立順とした。『ニーベルンゲンの歌』、クライスト『О侯爵夫人』、ゲーテ『ファウスト』、ビューヒナー『ヴォイツェク』、フォンターネ『エフィ・ブリースト』、マン『ヴェネツィアに死す』、カフカ『変身』…と並ぶラインナップは、さながらドイツ文学史の入門書のようであろう。それを映画化した監督のほうは、サイレント期のラングから、ニュー・ジャーマン・シネマ時代のファスビンダー、ヴェンダース、ヘルツォークを経て、ハネケ、ペツォルト、ティクヴァにいたるドイツ語圏の名監督、そして、ヴィスコンティ、ロメール、キューブリック、ソクーロフといった世界各国の巨匠が顔を並べることになった。「はしがき」でドイツ文学の映画化についての映画史的概観を素描したので、各章の議論を映画史の文脈のなかで捉え直してみる際などに、参考にしていただきたい。

本書は、大学や大学院での授業に使用することも想定して編まれた。原作を読んでから映画を見るのもよいし、その逆でもかまわない。作品との最初の出会いが本書であることもあるだろう。とくに若い世代の人たちがドイツ文化に関心を寄せるきっかけとなるならば、編者としてこのうえない喜びである。

(山本佳樹)

広報委員長:原瑠璃彦
広報委員:居村匠、岡本佳子、菊間晴子、角尾宣信、堀切克洋、二宮望
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2025年6月29日 発行