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相内啓司全集『い(ま)え -IN BETWEEN ・存在とイマージュの境域』(DVD+BOOK)出版記念の会+新作映像・アニメーション『REM れむ waves in the dreams』(アニマテック版)試写会中止の顛末

相内啓司

本企画は個人映像・造形作家としての筆者の44年の活動を記録した作品集(DVD+作品資料+レビュー他)の出版記念の会であり、併せて新作の試写会を行うものでした。この極私的な出版に踏み切ろうとした背景には映像による表現を中心に活動してきた自身の思考のプロセスとその痕跡を振り返るということの他に、日本において1960~2000年代を中心に多様な映像表現と活動を試みてきた多くの映像作家たちの作品や記録がほぼどこにもアーカイブされることなく、また改めて批評や研究の対象とされることも稀である状況にあって、それぞれの作家が自らその記録を作成し、研究資料として実践的にアーカイブする必要性を作家や研究者たちと共有したいという思いがありました。

わたし自身の映像表現への関心は主に絵画、純粋映画、絶対映画、実験映画、構造映画、ビデオアート、コンセプチュアルアート、メディア・インスタレーションなどへ向けられていますが、一方ではそのような他者への関心とは異なる次のような問いについての反芻ともいえます。

「世界は経験に先立つアプリオリな表象性の手前で知覚と意識に不意にイマージュ(光景・現前性)として現れる。世界像をイマージュ(想像的・知覚世界像) として構成し続ける生命としての私たちにとって、知覚に開かれないものは存在しない。物質的世界の局面に異物としての生命が現出し消滅し続ける理由がないとしても、あらゆる生命は生存をかけてイマージュ(想像的世界像)を捏造するしかない。ことばという他者を超えて」そしてまた「そのようなイマージュ(光景・現前性)としての世界像は再・現前性を本質とする映像メディアによって再・イマージュ化されるが、それらは無限に遠ざかり続けるボイジャーのように時間の襞に呑み飲まれながら明滅し、反復を繰り返す。私たちが見ているイマージュとしての世界とはなにか.そしてそれを見ている私とは誰なのか.あるいは内在化される他者の欲望の眼差しとはなにか。メディウムによって、あるいは他者の欲望の眼差しによって再・イマージュ化される世界の光景の輪郭はどのように規定されるのか.また何によって」

この開催に向け、多くの方々の協力を得て2年をかけて準備をしてきました。2020年3月14日に東京会場:京都アカデミアフォーラムin 丸の内、3月21日には京都会場:Lumen Galleryでの開催を予定。SNSで告知。しかし開催直前の3月12日東京会場の新丸の内ビルディング内で新型コロナウィルスによる発症例を確認。予防的措置を検討しましたが、高齢の参加予定者もあり中止を決断(この時点での参加希望者は約110名)。一方京都会場は三密の状況が懸念されこちらも中止を決定。急遽SNS、メール等で告知。最終的に京都で関係者(20名)のみによる非公開の会を開催。

DVD+BOOKの全集『い(ま)え -IN BETWEEN』の構成内容

DVD(2枚組):ビデオアート11作品、アートアニメーション10作品、計21作品収録。

BOOK: 映像作品、インスタレーション、オブジェ、舞台美術、絵画、童話などの記録。

哲学者・小林康夫との対談(『存在とイマージュをめぐって』)、コンセプチュアルアーティスト・飯村隆彦へのインタビュー(「時間の視覚化・空間化、制度としての時間 / 無秩序な時間」)、映像研究家・映画監督・波多野哲朗(「相内啓司の表現活動の軌跡を辿ることはむずかしい」)、ヴィデオアーティスト・河合政之(「抵抗としてのナイーヴテ」)、ヴィデオアーティスト・瀧健太郎(「抵抗へのロマン 相内啓司のヴィデオ+ペン」)を収録。

付記:本論の入稿直前に、出版に際し寄稿していただいた映像研究家・映画監督の波多野哲朗氏の訃報が届きました。悲しみに耐えません。この場を借りて、謹んでご冥福をお祈りします。合掌。

(詳しくはhttp://www.aiuchi.site

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(-273℃ 映像芸術研究所・相内啓司)


相内啓司全集『い(ま)え IN BETWEENー存在とイマージュの境域ー』DVD+BOOK出版記念の会
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『REM れむ waves in the dreams』(アニマテック版)新作試写会
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   過去作品上映会

映像・造形作家相内啓司の多岐にわたる活動を記録した全集『い(ま)え in betweenー存在とイマージュの境域ー』(DVD+BOOK)の出版記念の会+新作映像・アニメーション『REM れむ waves in the dreams』(アニマテック版)の試写会を開催します。(併せて過去の2〜3作品を上映。上映後の作家トークもあります)
DVDと同梱されるBOOKには映像作品、インスタレーション、オブジェ、舞台美術、絵画、童話など、超領域的活動の記録に加え、哲学者小林康夫との対談、コンセプチュアルアーティスト・映像作家の飯村隆彦へのインタビュー、映画監督・映像批評家の波多野哲朗、ヴィデオアーティストの河合政之、ヴィデオアートセンター東京代表の瀧健太郎の書き下ろしレビューを収録しています。主に映像のあり方をめぐるそれらの様々な角度からの批評的言説は単に作家論や作品論であること超えて、映像・芸術論としての注目すべき観点を示しています。

「い ( ま ) え ・IN-BETWEEN ・ 存在とイマージュの境域」  相内啓司
「存在とイマージュをめぐって」小林康夫 x 相内啓司 ( 対談 )
「時間の視覚化・空間化、制度としての時間/無秩序な時間」飯村隆彦へのインタビュー相内啓司
「相内啓司の表現活動の軌跡を辿ることはむずかしい」 波多野哲朗
「抵抗としてのナイーヴテ」河合政之
「抵抗へのロマン 相内啓司のヴィデオ+ペン」瀧健太郎

(-273℃ artimage institute/-273℃ 映像芸術研究所・相内啓司) 

関連情報サイト
Http://www.aiuchi.site
https://youtu.be/lKaJz-hpm3M (トレイラー)
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◉東京会場
◎場所:京都アカデミアフォーラム in 丸の内(新丸の内ビルディング10階)
〒100-6510 東京都千代田区丸の内1-5-1 (Tel:03-6259-1891)
◎日時:3月14日(土)
17:30 開場
18:00~18:40 相内啓司全集『い(ま)え in betweenー存在とイマージュの境域ー』(DVD+BOOK)出版記念の会
18:50~19:30『REM れむ waves in the dreams』特別試写会+過去作品上映
( 同時上映作品:『動・MOVE』、『Hello friends -schizophrenic view』)
19:40~20:00 作家トーク
20:10 終了

◎主催:-273℃ artimage institute/-273℃ 映像芸術研究所
http://www.aiuci.site

◎入場無料(先着100名/事前申し込みの受付をします)

広報委員長:香川檀
広報委員:白井史人、原瑠璃彦、大池惣太郎、鯖江秀樹、原島大輔、福田安佐子
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2020年10月20日 発行