2021年12月5日(日)
午後16:00-18:00

宮﨑裕助『ジャック・デリダ 死後の生を与える』

宮﨑裕助(専修大学)
柿木伸之(西南学院大学)
清水知子(筑波大学)
乗松亨平(東京大学)
司会:大橋完太郎(神戸大学)

宮﨑裕助『ジャック・デリダ 死後の生を与える』は、「死後の生」をひとつの中心概念に置いて、国家や政治、動物的生と人間の生、あるいは共同体と友愛など、デリダの思考における主要問題系を縦横に論じた書物である。本セッションでは、フランス哲学という文脈の縛りから若干離れて、隣接領域の研究者による諸考察を通じて、本書の理論的価値について考えてみたい。たとえば、ベンヤミンらドイツ批評理論との関係において、本書が提起した「死後の生」という概念とその応用はどのように理解されるのか(柿木)、デリダを源流のひとつとする人間/動物論が──たとえばバトラーを経由して──いかなる文化理論として展開されうるのか(清水)、デリダも訪れた「モスクワ」も含む広いロシア的体制のなかにみられる「死後の生」の異なるあり方や、ロシア現代思想の展開は、デリダの思考との対置においてどのように考えられるのか(乗松)といった観点が考えられるのではないだろうか。横断的かつ多角的な視点からなるこの書評会を、ある思想や概念の「死後の生」をめぐるパフォーマンス的営みとも捉えることができよう。