世界規模の社会の激動とともに、文化状況もまた加速度的に多様化し流動化しつつある現在、その変容の力学を正確に捉え、精密に分析し、さらにそこで得られた研究成果を文化創造の現場にフィードバックしてゆくことを責務とする人文科学的な〈知〉が求められています。それは、文学、芸術、哲学といったジャンルから始まって、テレビ、映画、情報ネットワークなどが形成する現代的なメディア空間とそこに生起するポップ・カルチャーに至るまで、多種多様な文化現象の解明をめざして、理論と実践の両面における果敢な実験を恐れない、柔軟にして厳密な知的営為でなければなりません。

表象文化論学会は、「表象」(representation)の分析という観点から、文化事象全般に対して批評理論に立脚した学術的アプローチを行いつつ、大学における研究と社会での文化創造のアクチュアリティとの間の架橋を企てていくために、2006年に設立されました。「表象」という概念は、哲学においては「再現=代行」であり、演劇では「舞台化=演出」、政治的には「代表制」を意味しています。表象文化論学会は、この「表象」という概念を、さまざまな文化的次元の関係性の核を表わすキー・コンセプトとし、文化的事象を孤立した静的対象として扱うのではなく、それが生産され流通し消費される関係性の空間、すなわち、諸力の交錯する政治的でダイナミックな「行為」の空間の生成と構造を考察しようとするものです。

こうした目的のために、表象文化論学会は以下の活動を行います。

(1) 年次大会・研究発表集会の開催
(2) 学会誌・ニューズレターの発行
(3) その他、表象文化論に関する研究の支援、国内外の関連団体との連絡など、本会の目的を達成するために意義のある活動

学会の趣旨および活動の詳細については「設立にあたって」、「活動内容」、「会則・委員構成」をご覧ください。表象文化論学会の創造的実践をいっそう大胆かつ広範に展開していくために、さらに多くの有志の方々が参加してくださることを願っています。

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2023年度の活動計画

(1) 第17回年次大会の開催
  日程:2023年7月8日(土)、9日(日)
  場所:東京大学(駒場キャンパス)
(2) 第17回研究発表集会の開催
  日程:2023年秋頃
  場所:オンライン