翻訳

クロード・コスト(著)、桑田光平栗脇永翔 、中村彩(訳)

バルトの愚かさ

水声社
2022年12月
複数名による共(編/訳)著の場合、会員の方のお名前にアイコン()を表示しています。人数が多い場合には会員の方のお名前のみ記し、「(ほか)」と示します。ご了承ください。

タイトルを見て驚かれる人もいるかもしれないが、内容は斜めからのアプローチではなく、ロラン・バルトの思索を貫く「愚かさ」を真正面から扱っており、むしろ正統派とすら言える。「知性」の側にいるバルトは、「愚かさ」から逃れられるとは少しも信じておらず、自分の「愚かさ」をどこからどのように眺めることができるのか、あるいは、「愚かさ」との適切な距離はどのように確保できるのか、という問いに取り組まざるを得なかった。それこそがまさに「知性」であり、「知性」とはいわば「愚かさ」の関数にほかならない。自己(「私」)、ステレオタイプ、身体、文学(言語)、政治、旅……いずれも数多の作家・思想家が取り組んできたテーマだが、これらのテーマを論じる際に陥る「愚かさ」に意識的だったバルトは、どんな戦略を用いたのか、そして、果たして「愚かさ」から適切な距離をとることができたのか。バルト研究者の手による研究書ではあるものの、単なるバルト論を超えて、知性や愚かさについて示唆に富んだ著作だと言える。

(桑田光平)

広報委員長:増田展大
広報委員:居村匠、岡本佳子、髙山花子、角尾宣信、福田安佐子、堀切克洋
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2023年6月30日 発行