ドゥルーズ革命
本書はドゥルーズ生誕100年を記念し、題に「革命」を掲げる。もっとも本書が差し出す「革命」は、しばしば理念として掲げられる到達目標ではなく、世界に実際に働く力の配置を組み替え、新たな生を開くための具体的な実践の運動にほかならない。その意味で本書は、シニシズムが行為の契機を弱め、結果として現状追認へと傾きやすい現代的状況のなかで、ドゥルーズ思想がもつ生成の回路をあらためて示そうとする。
もちろん、事後的に、以前と以後で何が変化したのか、また変化ののちに何が継承されるのかを検証する作業は、今後も学術的課題として欠かせないだろう。しかし、ドゥルーズ哲学が読み継がれてきた理由は、それだけではない。ドゥルーズの思考は生成の力を内在させると同時に、それに触れる者を巻き込み、概念の使用そのものを通じて変成へと導く。本論集は、この運動が残した軌跡を集め、私たちの現在に潜む「変わりうる力」を照らし出す。
冒頭には、近年相次いで刊行されている講義録の編纂者であるダヴィッド・ラプジャードと宇野邦一の対談が置かれ、講義録の読みどころが示される。続くラプジャードの論稿は、「器官なき身体」というドゥルーズ゠ガタリを代表する概念を手がかりに、ドゥルーズ思想全体を見渡すための見取り図を与える。さらに、13名の論者がそれぞれの問題関心に応じて、概念解釈にとどまらず、政治、言語、文学、芸術など多方面から論考を寄せている。本書は記念論集であると同時に、ドゥルーズ研究/受容の現在を示す一冊となっている。
(黒木秀房)