編著/共著

東谷護(編著)、Edgar W.Pope、永原宣、周東美材、木本玲一、大山昌彦、山田晴通(著)

ポピュラー音楽再考 グローバルからローカルアイデンティティへ

せりか書房
2020年3月
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「日本の」ポピュラー音楽を研究対象とする論考をその折々に集めた論集を2003年から5~6年に一度、世に問うてきたが、本書はその4冊目となる。どの論集も、序を設けず、だからといって「まえがき」で各論文への細かな解題を記すこともせず、論集全体に対する大雑把なキーワード的なものを「はじめに」で提示するだけにとどめてきた。理由としては、ポピュラー音楽研究は確固たる地位があるわけではなく、いやむしろ西洋芸術音楽も含む音楽研究は、分野外からみれば研究対象にせよ、方法にせよ、いまだに作家作品論が中心と誤解されることが多いことを鑑みれば、小さな論集でも、ポピュラー音楽を研究対象とすると、これだけの広がりがあるものだということを実感してほしいから、敢えて、読み方を強制するような説明的なものは提示しなかったのだ。

だが、このようなある種の開き直りも通用しなくなってきていると近年、感じている。それこそ、本書の「はじめに」で副題として明示した「コンテンツ」と音楽が呼ばれるようになってきてからだ。音楽を論じることとは、音楽の背後にある豊潤な文化を解き明かすことであることを、コンテンツと呼ばれれば呼ばれるほど軽く吹き飛ばされてしまう脅威はない。そういう潮流にあっては、本書は時代遅れかもしれないが、読みごたえのある論集に仕上がったと自負している。

(東谷護)

広報委員長:香川檀
広報委員:白井史人、原瑠璃彦、大池惣太郎、鯖江秀樹、原島大輔、福田安佐子
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2020年10月20日 発行