2022年11月12日(土)
午前10:00-12:00

  • 生き物から私たちを考える––––擬人主義・オルタリティ・動物文学

登壇者:難波優輝(newQ/立命館大学

江川あゆみ(早稲田大学)

近藤玲(筑波大学)


生き物から私たちを考える––––擬人主義・オルタリティ・動物文学

 本ワークショップでは、アニマル・スタディーズ、生物学の哲学、SFスタディーズの視点から、生き物のコミュニケーションや相互作用を人間がまなざすとき、どのような動物理解が得られるのか。そして、そのとき翻って、どのような人間理解が得られるのかを論ずる。まず、江川あゆみによるアニマル・スタディーズの展開の概説を行う。本パネルの問題意識を先行する文脈と接続しながら、アニマル・スタディーズの現在の広がりをオーディエンスに共有する。次に、近藤玲は、生物学の哲学の視点から、生き物同士のコミュニケーションがどのように人間によってまなざされ、理解されているのかを、SNSにおけるコメントをはじめとして様々な事例を取り上げることで、「擬人主義」として知られる人間の動物観が実際に現代でどのように展開されているのかを明らかにすることを目指す。続いて、難波優輝は、近年のSFスタディーズにおいて重要な研究を行なったシェリル・ヴィントンによる『アニマル・オルタリティ』で提示された「アニマル・エイリアン」概念を手がかりに、異なる世界を生きる存在がいかに共に生きうるのかを、SF作品に描かれる生き物と人間の関係を通じて、認識論と美学の観点から論じる。江川は「動物文学」という語を提唱した在野の動物行動学者としても知られる平岩米吉の動物研究のうち、特に「生態研究」と「動物文学」がいかなる実践だったのか考察する。各発表の後、登壇者の3名によるディスカッションを行い、次いでフロア全体に開いて質疑応答を行う。