日時:2012年11月10日(土)
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム
午後2 16:00-18:00

問題提起:岡田温司(京都大学)
加治屋健司(広島市立大学)
橋本一径(早稲田大学)
森元庸介(東京大学)
司会:木下千花(静岡文化芸術大学)

著作権をめぐる近年の動向は、イメージを扱う研究者にとっても決して無縁のものではない。権利上の問題により、論文等への図版の掲載を断念せざるを得ないという経験は、多くの研究者が日常的に味わっていることだろう。主として営利目的の場面を想定して整備されてきた法や制度に、現状では研究者は一方的に従うことを余儀なくされている。しかしながら欧米の学会などにおいては、イメージの利用についての独自のルールを作成し、ステートメントを公表しているところも少なくない。表象文化論学会もまた、そのようなステートメントを出すか否かの判断を迫られる日が、遠からず訪れるのは間違いないだろう。本シンポジウムは、そのための準備として、個々の具 体的な場面に立ち入るよりも前に、まずは歴史的・哲学的な観点から、「イメージ」と「権利」の関係を問いなおすことにより、議論の土壌を整えることを目指す。森元は、イメージに関する規範形成を考えるにあたって範例となる思想史的場面のいくつかを確認しつつ、翻って権利と侵犯の境界が自明性を失う地点を問題化する。橋本は、19世紀において写真の著作権が初めて問題とされた際の議論を手がかりに、「著者」や「作品」という概念が、そこでいかなる変容を迫られたのかを考察する。加治屋は、現代美術の分野で「著者」や「作品」の概念がゆらぐ事例を検討して、今日のイメージのあり方を考察する。