日時:2015年11月7日(土)16:00-18:00
場所:東京大学駒場キャンパス21KOMCEE(East 2F-212)

・福田裕大(近畿大学)
・金子智太郎(東京藝術大学)
・榑沼範久(横浜国立大学)

司会|福田貴成(中部大学)

 今年4月に刊行された『表象09』の特集「音と聴取のアルケオロジー」では、聴覚/音響文化研究の近年の成果が紹介されるとともに、現在の文化・技術・社会状況における「聴覚性」とはいかなるものなのかが討議された。そこで確認されたのは、「聴覚」という固有の感覚における経験のみを思考の対象としても「聴覚性の現在」は掴めないのではないか、という問題意識である。折しも本年は谷口文和・中川克志・福田裕大『音響メディア史』(ナカニシヤ出版、2015年)そしてジョナサン・スターン『聞こえくる過去』(インスクリプト、2015年)など聴覚/音響文化に関わる邦語出版が相次いでいるが、これらの著作もまた、歴史に取材しながら「聴覚性」なるものの姿を多面的に検討したものと捉えることが出来るだろう。
 本パネルでは、上記諸著作の狙いを著訳者らと再確認しながら、いまだ輪郭の曖昧な「聴覚性」概念の批判的検討をおこない、それを通じてこの研究分野の今後の展望を試みたい。