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Association|表象文化論学会賞

第1回表象文化論学会賞

学会賞:日高優
奨励賞:乗松亨平
特別賞:渡邊守章

受賞理由

■ 学会賞:日高優
『現代アメリカ写真を読む デモクラシーの展望』 青弓社 2009年

アメリカ型デモクラシーの光と影、そのパラドクシカルな二面性を、まさしく光と影のアートとしての写真を詳細かつ鋭利に分析することで活写した力作である。著者のまなざしは、しかし、写真がいかにデモクラシーを演出してきたのかという、過去の事例への批判的な検証のみに止まるものではない。グローバルなインターネット・メディア時代において、写真は今後デモクラシーとのあいだにいかなる関係性を切り結びうるのか、その可能性と限界にも肉薄しようと試みる。その点でも本書は高く評価される。

■奨励賞:乗松亨平

『リアリズムの条件──ロシア近代文学の成立と植民地表象』水声社 2009年

カフカスという「遠い他者」を十九世紀のロシア文学がいかに表象してきたのか、植民地表象をめぐるこの問題にたいして、著者は、ポストコロニアル批評を単になぞるのではなく、あえてそれと対決することで批判的にアプローチしようと試みる。本書が高く評価されるのは、この鋭い問題意識と方法論的な自覚にある。そのうえで本書は、テクストの内と外、ロシアの内と外という、入れ子状に錯綜した表象の緊張関係を、緻密な作品分析をつうじて鮮やかに描きだしている。今後のさらなる研究の発展を期待させる秀作である。

■特別賞:渡邊守章

長年にわたり第一線で表象文化研究を牽引してきた実績、加えて京都造形芸術大学舞台芸術センター所長としての近年の旺盛にしてかつ実験的な演劇活動および批評活動、さらには、その成果を結実させた二つの近著、『越境する伝統』(ダイアモンド社、2009年)と『快楽と欲望──舞台の幻想について』(新書館、2009年)にたいして、学会として氏に特別賞を授与する。

選考委員

・岡田温司
・小林康夫
・佐藤良明
・和田忠彦

選考経緯

まず、2009年12月末から1月末にかけて、会員からの推薦を募りました。実際に推薦があったのは以下の作品です(著者名50音順)。

* 大橋完太郎『群れと変容の哲学──ドニ・ディドロの唯物論的一元論とその展開』
* 門林岳史『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?──感性論的メディア論』
* 北野圭介『映像論序説 <デジタル/アナログ>を越えて』
* 乗松亨平『リアリズムの条件──ロシア近代文学の成立と植民地表象』
* 日高優『現代アメリカ写真を読む──デモクラシーの眺望』
* 渡邊守章『越境する伝統』『快楽と欲望──舞台の幻想について』

選考委員会では、まずこれらのすべてを最終選考の対象とすることで一致しました。ただし種目については、会員推薦における指定も参考にしながら、賞の特殊性や今後の方向性も考慮しつつ選考委員会で独自に検討しなおすことにしました。

具体的な選考作業は、上記の候補作ひとつひとつについて各選考委員が意見を述べたのち、全体討議によって各賞を決定していくという手順で進行しました。

選評がREPREに掲載されています。→[詳細

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